犬は、散歩中にあちこちクンクンとニオイを嗅ぎまわるのが大好きですよね。
ニオイを嗅いだあと、片足をあげてオシッコをかける姿もよく見かけます。
ところが今、こういった散歩中の犬の行為がマナー違反ではないかといわれているのを知っていますか?
実際に、犬のトイレやマーキングに対する苦情が増えているため「排泄を済ませてから散歩をしましょう」と呼びかけている自治体も多いのです。
トイレのために散歩に行ってるのに。
マーキングは犬の本能だからやめさせるのは無理でしょ。
あなたはこのように思っていませんか?
実は、犬のトイレやマーキングのコントロールはしつけでできるのです。
この記事では犬が散歩中にマーキングをしてしまう理由と、マーキングをさせないしつけの方法をお話ししていきます。
今回の記事でわかること
- マーキングとオシッコの違い
- なぜ犬はマーキングをするのか
- 散歩中の排泄をコントロールすべき理由
- 犬にマーキングをさせないしつけの方法
犬のマーキングはオシッコと同じではない
散歩中にオシッコやウンチをすることが習慣になっている犬は多いと思います。
また、オシッコとマーキングが同じだと思っている飼い主さんもいるかもしれないので、それぞれの違いを解説します。
マーキングと排泄の違い
マーキングとオシッコは同じように見えて、実は目的が違うものなのです。
排泄(排尿)とは
生理現象によるもので、膀胱(ぼうこう)に一定量たまった尿を放出する行為。
片足を上げず、腰を落としてする排尿は生理現象によるもの。
マーキングとは
電柱や街路樹などに少量の尿を意図的に排出する行為。
片足を上げ、できるだけ高い位置に排出したり、複数回に分けてごく少量の尿を排出するのが特徴。
犬がマーキングをする理由
マーキングを始める時期は個体差もありますが、7ヵ月前後からです。
理由として最も知られているのは「縄張りの主張」ですが、他にもさまざまなことが考えられます。
- 縄張りの主張・・・自分のテリトリーだと知らせるため
- コミュニケーション・・・他の犬との情報交換や、自分はここにいるよと存在を知らせるため
- 発情期・・・発情期のメスがオスを惹きつけるため
- 不安やストレス・・・引っ越しや新しい家族が増えたことによるストレス、飼い主さんがいない、長時間の留守番による不安など
- 病気・・・膀胱炎などの病気で、尿が少量ずつしか出ないとき
犬の尿には「年齢・性別・健康状態・発情期かどうか」など、たくさんの情報が含まれています。
犬が散歩中にあちこちニオイを嗅ぐのは、他の犬の情報を集めているからなのです。
マーキングは名刺交換やSNSと同じこと、ともいわれています。
足を上げて高い位置にオシッコをかけるのは、情報を上書きされにくくするため、自分を大きくて強い犬だと知らせるためです。
また、マーキングはオスだけがするものと思われていますが、発情期になるとメスでもマーキングをすることがあるのです。
散歩中のマーキングとトイレ
最近、散歩中にトイレをさせるのはマナー違反ではないかといわれるようになりました。
各自治体のホームページにも、犬の散歩のルールとして「トイレは散歩の前に家で済ませましょう」と書かれることが増えています。
では、オシッコに水をかけて流し、きちんとフンの始末をして持ち帰っていても、散歩中のトイレはマナー違反になるのでしょうか?
散歩中のトイレについて、掘り下げてみたいと思います。
散歩中のマーキングやトイレはマナー違反なの?
散歩中のマーキングだけではなく、トイレまでマナー違反だという声が上がるようになったのは、ニオイや衛生面が理由にあります。
今は、多くの方が散歩のときにオシッコを流すための水を持ち歩いていると思いますが、ペットボトルの水をかけたくらいではニオイは消えません。
犬の嗅覚はとても優れていますから、一度ニオイがついてしまうとマーキングが繰り返されるようになり、さらにニオイがキツくなってしまいます。
また、そうやって繰り返されるマーキングが原因で信号機が倒壊したというニュースもありました。
遊具や芝生がある公園など、子どもの遊び場となっている場所でのマーキングは、小さな子どもが知らずに触ってしまう可能性があるのでやめさせましょう。
また、みんなしているから大丈夫だろうと思ってしまいがちな、よその家の電柱やブロック塀などのマーキング。
その家の人にしてみたら、たいへん迷惑ですよね。
だったら自分の家の前でならいいでしょと思った方、あなたのワンちゃんのオシッコのニオイを嗅ぎつけて、他の犬にもマーキングされるようになってしまうので気をつけましょう。
トイレもマーキングもしつけでコントロールできる
「本能的な行動を制限しても大丈夫?」
「外でのびのびとトイレできないのはかわいそう」
と思われる方は多いと思います。
ですが、介助犬・警察犬・盲導犬など、働く犬は自由に排泄をしたりマーキングをしたりすることはありません。
また、自由にできないことでストレスを抱えたり病気になったりもしないのです。
そのため、ペットとして飼われている犬でも、してはいけないところでトイレやマーキングをしないようにしつけることは可能です。
どんな飼い主さんも、自宅でどこでも自由にトイレをさせることはないですよね。
屋外でも同じです。
トイレのために散歩をさせている飼い主さんも多いと思いますが、散歩は運動や気分転換のためにおこなうものと考えましょう。
散歩中の排泄をやめることは公共の場を汚さないだけでなく、ワンちゃんや飼い主さんにも次のようなメリットがあります。
散歩中のトイレをやめるメリット
散歩中のトイレ習慣をやめて自宅で済ませることはメリットにもなります。
- 天気が悪い日や飼い主の体調が悪い日などに、トイレのための散歩に行かなくて済む
- 犬が老いて散歩が難しくなったときにトイレに困らない
また、マーキングのしつけをするために正しい方法で散歩することができるようになれば、引っ張り癖なども直すことができるのです。
マーキングのやめさせ方
では、実際に散歩中のマーキングをやめさせるしつけの方法をお伝えします。
- 散歩の前に排泄を済ませる
- マーキングの予兆となる行動を知って、その場から離れる
- どうしてもやめられないときは、ペットシーツやマナーベルトを利用する
- 避妊・去勢手術をする
ひとつずつ解説していきますね。
散歩の前に排泄を済ませる
犬に「排泄は家のトイレだけでする」ということを教えれば、散歩中に立ち止まってウンチやオシッコをさせる必要がなくなるので、マーキングのしつけもやりやすくなります。
まずは、家の中の決められた場所でトイレができるようにトレーニングすることが大事です。
その際に、飼い主さんの合図でトイレができるようにコントロールできれば、排泄を済ませてから散歩に行くことができるようになります。
それには、犬が排泄をするタイミングや、排泄がしたいときのサインとなる行動を知る必要があります。
トイレのしつけについて詳しく知りたいという方は、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
マーキングの予兆となる行動を知って、その場から離れる
マーキングの前には必ず電柱や草むらなどのニオイを嗅ぎまわる、片足を上げるなどの行動をします。
クンクンし始めたと思ったら立ち止まらず散歩に集中させる、片足を上げそうになったらその場から引き離すようにしてください。
予兆となる行動が表れたら、リードをすばやく引き「ダメ」と合図を送ってやめさせますが、きちんと合図を伝えるには日頃から正しい方法で散歩をすることが大切です。
リードは緩んだ状態で短く持ち、飼い主さんに寄り添って歩けるようにしつけをして信頼関係を築きましょう。
どうしてもやめられないときは、ペットシーツやマナーベルトを利用する
散歩中のマーキングが癖になっている場合、ニオイを嗅ぎ始めると飼い主さんのいうことを聞かない、ひっぱり癖があってやめられないということもあると思います。
どうしても散歩中にしてしまう場合は、オシッコをかける前にペットシーツを敷いたりマナーベルトやおむつを利用したりしてもいいですね。
失敗してもキツく叱るようなことはせず、うまくいったときにほめてあげるようにしましょう。
避妊・去勢手術をする
避妊や去勢手術をすることでマーキング行為がなくなる場合もありますが、絶対になくなるわけではなく、手術後にもしてしまう犬はいます。
手術をしてもやめないからといって諦めず、犬にストレスをかけないような環境の中でしつけをすれば、改善することができます。
避妊・去勢手術には不必要な妊娠を避ける・病気を予防するなどのメリットもあるので、マーキング改善のためだけと考えず、獣医さんに相談して決めましょう。
室内でマーキングをしてしまうとき
室内でマーキングをしてしまう理由は、不安やストレス、病気、縄張り意識などが考えられます。
環境が変わったり長時間留守番をさせたりしているなど、原因が思い当たるのであれば飼い主さんが寄り添ってストレスを取り除いてあげましょう。
膀胱炎などの病気が疑われる場合は、すぐに獣医さんに診てもらってください。
ストレスや病気が原因ではない場合には、飼い主さんと犬の主従関係がうまくいっていないと考えられます。
主従関係が逆転し犬がリーダーとなってしまうと、家の中でも縄張りを主張してマーキングをするようになります。
主従関係を見直し、犬が室内で行動できる範囲を狭くして縄張り意識が弱まるようにしてください。
マーキングした場所にニオイが残っていると同じ場所で繰り返してしまうので、きれいに掃除をし、犬がなめても安全な消臭剤などを使ってニオイを消しておきましょう。
犬のマーキングをやめさせるべき理由としつけの方法
今回は、散歩中のマーキングについてお話ししました。
今回の記事でわかっったこと
- マーキングは排泄とは違い、縄張りのアピールやコミニュケーションとして意識的におこなうもの
- ニオイや衛生面に配慮し、散歩中に排泄をさせないしつけが必要
- マーキングをやめさせるには、トイレを済ませてから散歩に行き、立ち止まってニオイを嗅がせないこと
犬の排泄は自然な行為ですが、飼い主さんのしつけでコントロールすることが可能です。
まずは、ワンちゃんがなぜマーキングをしてしまうのかを見極めましょう。
不安やストレスを抱えている場合は、原因を取り除き安心して過ごせるようにします。
病気が疑われる場合は、必ず獣医さんに相談してください。
犬の習性を知り、きちんとしつけをしてあげることで周りの人とのトラブルを未然に防ぎ、犬も人間社会で幸せに暮らすことができるのです。
あなたとワンちゃんが気持ちよく散歩できますように。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!