
念願のワンちゃんをお迎えしたのに、お散歩で他の犬や飼い主さんに会うと「ウゥ~」と怖い表情で威嚇してしまうんです。
お散歩に行くのが憂鬱……。
ワンちゃんが威嚇を誰かにしたとき、とっさにどんな対応をしたらよいのか困りますよね。
また相手の方に不快な思いをさせてしまったのではないか、と心配にもなることもあるでしょう。
うちの子が他の犬や人に対して威嚇して吠えるので何とかしたい、でもどうすればよいのか分からなくて悩んでいる飼い主さんも多くいらっしゃいます。



ワンちゃんが威嚇するのには、いくつか理由が考えられます。
しつけを成功させるには、その理由を探り、あなたのワンちゃんに合ったしつけをしてあげることです。
きちんとしつけをすることで、ワンちゃんは威嚇吠えするストレスが減り、飼い主さんももっとお散歩が楽しめますよ。
本記事ではワンちゃんと快適に暮らすために、威嚇吠えを止めさせる方法についてお話します。
- 威嚇吠えのサインとは?
- 威嚇吠えの原因とは?
- 威嚇吠えを止めさせるしつけ方法
- 飼い主のNG行動とは?
この記事で解説している威嚇吠えをする原因を元に、まずはワンちゃんの気持ちを理解してあげましょう。
ワンちゃんの気持ちに寄り添ったしつけをすることで、解決の道へと繋がっていきます。
そうしてワンちゃんとの生活は、かけがえのないものとなり、あなたとの絆も深まりますよ。
ぜひ、最後までお読みくださいね。
威嚇して吠えるサインとは?


威嚇して吠える犬に対して何も対処しないと、咬む行為に進展してしまう可能性があります。
あなたのワンちゃんがケガを負ったり、人や他の犬にケガをさせたりする事態は避けたいですよね。
最悪の事態を避けるためには、ワンちゃんが威嚇して吠えるときのサインを飼い主さんが事前に察知して対応できる必要があります。
まずは、咬む行為の前段階である威嚇のサインを把握しましょう。
次の5つの行為が、威嚇のサインとなります。
- 歯をむき出しにして低い声で唸る
- 高い声で何度も吠える
- 相手をにらみつける
- じゃれ合いのひとつ
- 体に力が入り硬直する
ワンちゃんのサインを見逃さず的確に対処できるように、丁寧に見ていきましょう。
歯をむき出しにして低い声で唸る
犬が誰かや何かに向かって歯をむき出し、「ウゥ~」と低い声で唸っているのは威嚇している状態です。
お散歩中に出会った他の犬に向かって、このように威嚇する場面が多くみられることがあります。
実際には攻撃する気持ちはなく、攻撃するような態度を見せることで相手を脅かします。
自分の身を守るために自分の力を誇示することが目的です。
「もうこれ以上近づくな」というサインと理解しましょう。
しかし緊張が高まり一線を越えると、攻撃に発展する場合も考えられますので注意が必要です。
高い声で何度も吠える
危険が迫っていると感じたときや警戒しているときに、普段よりも高く大きな声で数回に分けて鳴くことがあります。
これは遠くにいる相手に対しての威嚇です。
威嚇の対象が近くに迫っているときには、小刻みに吠え続けます。
また、生き物だけではなく、車の音や雷など過剰なの騒音に反応して吠えることもあります。
相手をにらみつける
お散歩中に他の犬に向かって、じっとにらみつけるのも威嚇している証拠です。
「それ以上、こっちにくるな」「自分のほうが強いぞ」と、目で明確なメッセージを送っています。
攻撃の前兆とも捉えられ、ワンちゃんも飼い主さんにも緊張が走る瞬間ですね。
じゃれ合いのひとつ
犬同士でじゃれ合っているときにも、威嚇のような様子が伺えます。
「吠える」「噛みつく」「追いかけまわす」「体の上にのる」などの行為を見て、ケンカが始まったのではないかとハラハラする飼い主さんもいると思います。
ワンちゃんが興奮することで、よく見られますね。
じゃれ合いと威嚇の区別は、顔の表情を見ることで判断できます。
じゃれ合いのときはその行為を楽しんでいるので犬の表情も穏やかですが、威嚇のときは目つきが鋭く厳しい表情です。
興奮も行き過ぎると本気の攻撃に発展することもありますので、興奮しだしてきたら対象と距離を取りクールダウンさせましょう。
特に同性同士の場合は、ケンカに発展しやすいので注意してくださいね。
体に力が入り硬直する
緊張して体全体に力が入る状態の、威嚇のサインです。
ときには前足に体重をかけて、硬直したようなポーズをとることもありますね。
ワンちゃんが不安を抱いていたり、強い緊張感を感じていたりすることを示しています。
しっぽがピンと立っていると、さらに威嚇は頂点に達しているといえるでしょう。
威嚇して吠える原因4つ


犬はそのときの状況や気持ちによって、威嚇して吠える原因も変わってきます。
まずはワンちゃんについてよく観察し、理解してあげてくださいね。
犬が威嚇して吠えるのには、主に4つの原因が考えられます。
- 恐怖心や不安感
- 何かを守ろうとする気持ち
- 縄張りを主張したいとき
- 体調が悪いとき
心理面が原因だけではなく、体の異変があるときも威嚇して吠えることがありますので、原因をよく見極められるようになってくださいね。
恐怖心や不安感
犬は、過去に体験した怖かったことや不安な気持ちを記憶しており、威嚇に発展することが多々あります。
威嚇して、自分自身を守ろうとする防衛本能を持っているからです。
また見慣れないものや見慣れない人、動物に遭遇したときにも社会経験の不足から威嚇することがあり、子犬の社会化期が重要と言われる理由です。
子犬の時期に社会性を徐々に身に付けさせるのも、飼い主さんの大切な役割ですね。
どのような場面になると威嚇をしだすのか、観察することから始めましょう。
犬の生まれた環境や性格、さらに犬種によっても異なる場合があります。
例えば虐待に遇った保護犬であれば、新しい飼い主さん対しても威嚇し、慣れるまでに多くの時間を要するでしょう。
何かを守ろうとする気持ち
犬の防衛本能は、自分自身だけでなく、大切なものを守ろうとして威嚇することもあります。
母犬であれば生まれたばかりの子犬を守ろうとし、近づくものに対して威嚇します。
まさに母性本能の現れからくる行為です。
また、その対象は大切なおもちゃやおやつであったりもします。
威嚇して「盗るな!」と、相手に警告しているのです。
縄張りを主張したいとき
犬は縄張り意識が強い動物です。
最近は番犬として犬を飼うということは少ないですが、以前は縄張り意識の強さを利用して犬を飼うということもありました。
自分の縄張りである家に見慣れない人、例えば自宅であれば宅配業者さんが入ってくると威嚇吠えをします。
自分のテリトリーが侵されようとしていると察知し、「(自分の縄張りに)入ってくるな!」という訴えているわけです。
体調が悪いとき
ワンちゃんを普段と同じように抱っこしようとしたり、体に触れてスキンシップを取ろうとしたりしたら、威嚇されたという経験がある飼い主さんもいるかと思います。
体のどこかに痛みがあったり体調が悪かったりすることが原因です。
体が痛い、不快感があるなどの理由から、触られたくないのでしょう。



いつもと様子が違う……と感じたら、早めに動物病院の受診をお勧めします。
威嚇して吠えるのをやめさせるには


威嚇という行動は、ワンちゃんにも飼い主さんにもストレスを与えてしまいます。
ワンちゃんに威嚇しなくてよい環境を整えてあげたいですよね。
解決の糸口を見つけるには、どのような状況のときにワンちゃんは威嚇し、そのときあなたはどのような対応をしたかを振り返り、原因を考えながら対応を改善していくことです。
次のように状況を振り返ってみましょう。
ワンちゃんが威嚇したのは、どんな場面でしたか?
- 見知らぬ人や犬(動物)、物音に反応したとき
- 知らない人が家(テリトリー)に入って来たとき
- 体を撫でようとしたとき
そのときにあなたは、どのような態度をとりましたか?
- 慌てて大きな声でワンちゃんを𠮟りつけた
- 冷静にワンちゃんの名前を呼んだ
- 無視をした
威嚇する原因を無視して、とっさに行った飼い主さんの行動が、ワンちゃんに悪影響を与えてしまうことがあります。
怯えているのに大きな声で𠮟りつければ、ワンちゃんは飼い主さんに対して恐怖心を抱き信頼関係にヒビが入るかもしれません。
恐怖心や不安感が原因なら安心させてあげる必要がありますし、何かを守ろうとして威嚇したのなら信頼関係を築きなおす必要があるでしょう。
ワンちゃんとよい関係を継続するためにも、威嚇した状況から原因を見極めて適した対応をしてくださいね。
次の章ではよくある状況を、ケース別に詳しく解説しますね。
【ケース別】威嚇して吠えるのをやめさせるしつけ方法


毎日ワンちゃんと暮らしていると、さまざまな状況で威嚇して吠える場面があるかと思います。
以下の具体的なケースについて、威嚇吠えを止めさせるしつけ方法を解説しますね。
- インターホンなど、ある特定の音に対して威嚇する
- お散歩のときに、同じ場所を通った時に威嚇する
- 知らない人に出会った時に威嚇する
- 他の犬に出会った時に威嚇する
あなたのワンちゃんにあてはめて、読み進めてくださいね。
インターホンなど、ある特定の音に対して威嚇する
犬は予期せぬ侵入者に対して、警戒心をあらわにし吠える習性を持っています。
インターホンが鳴ったときや電話の着信音が鳴るたびに吠え続けるので、会話もできない状況にうんざりしている方もいるのではないでしょうか。
また相手の方に対して、申し訳ない気持ちになりますよね。
あらかじめ音が鳴る状況がわかってかっている場合は、ワンちゃんを他の部屋や安心できるケージに移動させるとよいでしょう。
吠え続けるワンちゃんに対してイライラすると、そのイライラをワンちゃんが感じ取ってさらに吠えるという悪循環が生まれます。
ワンちゃんと対象との距離をとって、まずは悪循環を断ち切りましょう。
次に吠える音にワンちゃんを慣れさせていきます。
インターフォンに吠えるのなら、飼い主さんが帰宅時に鳴らしてから家に入るとよいです。
「インターホンの音=飼い主さんの帰宅」と学習させることで、インターホンの音は嬉しい音とワンちゃんは理解し、威嚇して吠えることはなくなるでしょう。
お散歩のときに、同じ場所で威嚇する
お散歩中にワンちゃんが威嚇して吠えるのは、同じ場所を通ったときではありませんか?
威嚇せずにはいられない気になる何かがあるのかもしれません。
例えば以下の2つが考えられます。
- 他の犬に吠えられたなど怖い思いをした場所
- 痛い思いをした動物病院やトリミングサロンへ行く道
特定の場所で威嚇して吠えるのなら、お散歩ルートや時間帯を変えるのが簡単でおすすめです。
- 威嚇すると思われる場所を通らない
- 夕方の散歩時間を早朝に変えてみる
いくつか仮説を立てて、注意深く観察します。
目星が付いたら、できるだけその環境に遭遇しないような工夫をしましょう。
知らない人に出会ったときに威嚇する
ワンちゃんが威嚇をする相手はどんな人ですか?
あるいは、どんなものを身に付けている人でしょうか?
- 男性または女性
- お年寄りまたは子ども
- 帽子やサングラスを身につけている人
- 作業着や制服を着た人
など、共通点を手掛かりにして推測してみましょう。
実は、意外にも小さな子どもである場合も多いです。
子どもは突然駆け寄ってきて、無造作にワンちゃんに触れようとすることがあります。
ワンちゃんは予期せぬ行動をする者が苦手ですので、飼い主さんがひと工夫の声掛けをしてあげてください。
「〇〇を触られると、びっくりするから、△△の方から触ってね」など、教えてあげましょう。
飼い主さんの一言で思わぬ事故を防げますし、「この人は怖くない人」とワンちゃんの社会性も育めますよ。
他の犬に出会ったときに威嚇する
お散歩中、他の犬に出会ったときに威嚇が始まることはよくある光景です。
あまり良い気分にはならないので、何事もなくすれ違えるようになりたいですよね。
他の犬に威嚇して吠えるときのしつけの手順は、次の通りです。
ポイントはワンちゃんが吠える前に、飼い主さんが先に他の犬に気づいて対応することです。
またSTEP2で褒め言葉をいうときは、ワンちゃんを興奮させないよう落ち着いた声を使います。
逆にSTEP3で褒めるときはワンちゃんに花丸をあげる気分で、少しオーバーに褒めてあげてくださいね。
吠え出してからでは止めるのは難しいので、日ごろからどんな場面や状況でも「スワレ」「マテ」「フセ」などができるようにしつけておきましょう。
飼い主がやってはいけないNG行動とは?


次に飼い主さんが気を付けたいNG行動について考えていきます。
知らないうちに行う行動が、ワンちゃんとの関係を悪くしてしまうことがあります。
以下の行動をとってしまうとワンちゃんと良好な関係が築けませんので、気を付けてくださいね。
- 犬のいいなりになる
- いきなり犬に触れる
- 大声で叱る
- その場しのぎでおやつを与える
犬のいいなりになる
ワンちゃんが威嚇するからといって、飼い主さんがワンちゃんの要求に応えてばかりいると、思わぬ危険が起こるかもしれません。
例えば準備したご飯の中に異物が入っていることに気づき、取り除きたいけれどワンちゃんが威嚇するのでできないということも起こり得ます。
「ご飯やおやつは「オテ」「スワレ」「マテ」ができてからしか与えない」など、ルールを設けましょう。



明確なルールを決め、ブレずに一貫した態度で接するのがコツです。
さらに家族全員で統一することも、とても重要ですよ。
飼い主さんがリーダーシップを発揮し、YES、NOをはっきりとさせることで、良好な関係が築けるでしょう。
いきなり犬に触れる
威嚇しているときは、ワンちゃんも興奮しています。
信頼関係が築けている飼い主さんであっても、いきなりワンちゃんに触れてはいけません。
突然さわられると、びっくりして反射的に噛まれることがあります。
特に顔や口のあたりは注意しましょう。
他者に被害が及ばない場合は、冷静に見守るか、無視をしておさまるのを待つのもひとつの方法です。
大声で叱る
大声で叱ることは逆効果です。
犬の聴覚は人間よりも優れているため、大きな声はストレスを与えてしまいます。
さらに「この人は怖い人だ」と、悪いイメージだけを残して萎縮させてしまうでしょう。
飼い主さんとワンちゃんの信頼関係も崩れ、問題行動に発展してしまう危険性さえあります。
また「飼い主さんも応戦してくれている」と勘違いさせることもありますよ。
その場しのぎでおやつを与える
威嚇しているワンちゃんを止めさせようと、おやつを与える飼い主さんがいます。
確かに気持ちがおやつに向けられるので、その場はおさまるかもしれませんね。
しかし、ワンちゃんは「威嚇するとおやつがもらえる」と学習し、勘違いしてしまいます。
威嚇した→おやつがもらえた→いいことをした→威嚇しておやつをもらおうと、なるのです。
飼い主さんの安易な行動から、ワンちゃんに間違った学習をさせてしまうことは避けましょう。
威嚇して吠える犬をしつけてリラックスした毎日を過ごそう
ここまで、ワンちゃんが威嚇するときのしつけ方法について解説してきました。
威嚇して吠える理由やサインは、以下のとおりです。
- 威嚇吠えは、攻撃に入る前段階の行動で、「これ以上近づくな」というサインである
- 威嚇時には、「高い声で吠える」「にらみつける」「体が硬直する」「じゃれ合い」が見られる
- 感情が高まると噛みつくことがある
威嚇するときの原因には、次のような場合があります。
- 恐怖心や緊張感からくるもの
- 何かを守ろうとしている
- 縄張り意識
- 体調不良のとき
威嚇するワンちゃんに対して、飼い主さんは冷静に向き合いましょう。
威嚇しているときは、次にあげる行為に気を付けてくださいね。
- ワンちゃんのいいなりになり、一貫性のない態度をとる
- いきなり犬に触れる
- 大声で叱る
- その場しのぎの行動をする
犬は人間のように言葉でコミュニケーションが図れません。
そのため飼い主さんが、表情・鳴き方・態度をよく観察し、理解してあげることが必要不可欠です。
一貫した態度で接し、よくできたときは思いっきりスキンシップを取って褒めてあげてください。
そうすることでワンちゃんの威嚇吠えは減り、良いこと、悪いことを学んでいきます。
焦らず、すてきな関係を築いていってくださいね。
お互いにストレスを感じず、家族の一員としてかけがえのない存在となれるように応援しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。