犬が警戒吠えするときのしつけ方は?理由や警戒吠えを始める時期まで徹底解説

来客や家の前を人や犬が通る度にワンちゃんが吠えると、来客と落ち着いて会話ができなかったり、ご近所の迷惑になっていないか気になったりして、気が気でないですよね。

犬にとって吠えることは本能であり、普通のことです。

そのため「イケナイ」「ノー」など注意するしつけでは、吠える行為をやめさせることはできません。

警戒して犬が吠える場合は、いかに安心感を与えられる工夫をする必要があります。

この記事では犬が吠える理由や警戒するもの、吠える時期、警戒心を解くしつけ方法について紹介します。

ワンちゃんの警戒心を解いて、リラックスした毎日を送らせてあげたいとお考えの飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。

なぜ犬は吠えるのか？

吠えることは犬にとって、感情や意図を表す大切なコミュニケーション手段のひとつです。

だからといって吠えていることに対して何もしないと、吠え癖がついてしまいます。

楽しいはずだったワンちゃんとの生活が、騒がしい毎日に嫌気がさすかもしれません。

吠える犬に対してしつけをする場合、吠える理由を理解し適した対応をする必要があります。

まずは理由を理解していきましょう。

犬が吠えるのには、以下の理由が考えられます。

それぞれについて、詳しく解説していきますね。

警戒や威嚇

知らない人や音など未知のもの、危険と感じるものに対して、犬が警戒心を抱いて吠えることはよくあることです。

犬に限らず私たちも、出会ったばかりの相手や初めて経験することなど、よくわからなければ警戒して身構えますよね。

犬が警戒しやすいものには、以下のことがあります。

吠えることで対象を追い払おうとしたり、「近づくな」と警告したりして、自分自身や縄張りを守ろうとしているわけですね。

不安やストレス

恐怖心から不安やストレスを感じて、犬は吠えることもあります。

吠えることで、不安な気持ちやストレスを解消しようとしています。

例えば雷や花火などの大きな音に対して、ワンちゃんが吠えていませんか。

私たちも突然の出来事が起こったとき、思わず声が出たり、誰かに話を聞いてもらいたかったりするのと同じといえるでしょう。

また誰も居ない家でお留守番しているワンちゃんが、吠え続けることもよくありますね。

飼い主さんがいないという不安からくる反応で、犬は社会性のある動物なため、ひとりでいることが苦手だからです。

飼い主さんへの要求

飼い主さんにしてほしいことがあると、吠えて訴える犬もいます。

飼い主さんに訴えたいこととして、以下のような場面がよくありますね。

普段、ご飯の時間やお散歩の時間などをきっちり決めて生活していると、要求吠えをしやすくなります。

犬は頭が良いので、時間やタイミングを覚えてしまうからです。

時間はあまり決めないで生活することが、要求吠えをさせないポイントのひとつですよ。

気持ちの高揚

ただ気持ちが高まって吠える、ということもあります。

例えば飼い主さんが帰ってきたときやご飯の用意を始めたとき、お散歩に行けると察したときなど、嬉しさが溢れて吠えてしまうのです。

人間でも気持ちがつい声に出てしまう人がいるように、犬でも吠えて気持ちを表現する犬がいますね。

習慣や学習

「吠えたら飼い主さんが構ってくれた」という経験があると、犬は「吠える＝望みが叶う」と覚えてしまいます。

また来客に対して吠え続けていたら来客が退室した場合、「吠える＝追い払えた」と勘違いして吠えることを学習することもあります。

来客は用が済んだので退室しただけだとしても、犬はそのように理解はできません。

習慣や学習によって吠える行為が定着すると、反射的に吠えるようになり、ますますしつけが難しくなります。

いかに学習させない接し方をすることが重要です。

犬が警戒するものって何？

犬が警戒するものとして前章で人や音など紹介しましたが、ここではさらに深堀していきますね。

以下のようなものに、犬は警戒しやすいです。

具体例を挙げながら解説します。

人や動物

犬は見慣れない服装をしている人や動きに予想がつかない相手などに対して、警戒心を抱きやすいです。

例えば帽子やサングラス、マスクをつけていたり、顔を覆っている服装をしていたりする人などが挙げられます。

身近に髭を生やしている男性がいないと、髭を生やしている人を警戒する犬もいますね。

出会ったことのない動物に対して、警戒吠えをすることもあるでしょう。

また相手が俊敏な動きだったり興奮していたりすると、警戒吠えをしやすい傾向があります。

相手が次にどのような行動をするのかわからないと、私たちも警戒しますよね。

犬の視覚から得た情報の感じ方は、人と似たところがあるようです。

音やニオイ

犬は聴覚や嗅覚が鋭いため、音やニオイに敏感に反応します。

室内で犬を飼っている方は、インターホンやチャイムの音にワンちゃんが敏感に反応する場面をよく見かけるのではないでしょうか。

その他にも聞きなれない音を耳にすると、吠えることがあります。

例えば、以下のものが挙げられます。

・工事の音
・雷
・花火
・救急車やパトカーなどのサイレン

なかには赤ちゃんの鳴き声や怒鳴り声など、人の声に反応する場合もありますよ。

また以下のニオイに反応する犬もいます。

・他の動物のニオイ
・強い香水やニオイ袋
・消毒液

犬の嗅覚は人間の数千倍あるといわれていますので、人間では感じないニオイを感じ取り吠えているのかもしれません。

環境の変化

引っ越しなどにより慣れた環境から新しい環境へ変化があったときも、犬は警戒心を抱きやすいです。

知らない環境に不安を覚えるのは、人間だけではありません。

犬も知らない場所や新しいものなどに、警戒心や不安を抱くものです。

飼い主さんの不安や緊張が伝わったとき

人の心を汲みとることが犬は得意です。

相手の行動や態度から感情などを読み取ってコミュニケーションを取るので、相手を犬はよく観察しています。

飼い主さんが不安がっていたり緊張していたりすると、「これからどんな恐ろしいことが起きるんだ⁉」と犬が警戒して吠えることはよくあります。

大好きな飼い主さんが抱く感情は特に伝わりやすいので、気を付けてくださいね。

犬の警戒吠えはいつから始まるのか？

犬の警戒吠えは、生後7ヶ月くらいから始まります。

一般的に犬が警戒吠えをするようになるまでの子犬の心理は、以下のとおりです。

社会化期の後半（生後2ヶ月〜3ヶ月）から犬は好奇心と恐怖心が同時に現れ葛藤し、経験を通して恐れる必要があるものか、無害なものかを判断していきます。

生後4か月以降では好奇心よりも恐怖心が徐々に強まっていき、生後7ヶ月頃になると恐怖心から警戒心が強まり警戒吠えが始まります。

生後4ヶ月頃の吠えは「これはなんだ？」といった感じで、恐怖心から数回吠える程度です。

そのまま対応しないと警戒吠えにつながるので、警戒心が強まる前にワンちゃんにはいろいろな経験をさせてあげましょう。

警戒して吠える犬のしつけ方

警戒心が強まったワンちゃんの場合、どうしたらよいのかと思われますよね。

警戒吠えをする犬のしつけには、以下のポイントが大切です。

・恐怖や不安を軽減させ、安心させること
・吠える必要がないと学ばせること

ポイントを押さえて、次に紹介するしつけ方を実行してみてくださいね。

距離をとって慣らす

警戒対象に慣れさせる方法を紹介しますね。

しつけの手順は、次のとおりです。

対象との距離を縮めるときは、無理に近づけることはしないでくださいね。

ワンちゃんのペースに合わせて、ゆっくりと対象との距離を縮めていきます。

おやつも使ってポジティブな印象を与えて「警戒する必要がないもの」と、教えてあげましょう。

別の行動を教える

吠える以外の行動に置き換えることも有効です。

犬が吠えそうになったら「おすわり」「アイコンタクト」「おやつ探し」など、別の行動に集中させましょう。

例えばお散歩中に「おすわり」や「アイコンタクト」でしつける場合は、以下の流れになります。

もし指示を出す前に犬が吠えてしまったら、無視して落ち着くのを待ちます。

無視をするときは、ワンちゃんに視線を向けずにリラックスしましょう。

飼い主さんの体が強張っていると緊張感がワンちゃんに伝わり、うまくいかないので気を付けてくださいね。

対象に慣れる環境づくり

音や視覚などに反応する犬は、慣れる環境をつくるとよいでしょう。

音の刺激には、CDなどを用いて段階的にその音に慣らしていく方法がおすすめです。

インターフォンに警戒吠えをするなら、帰宅する際にインターフォンを鳴らすとよいですよ。

ワンちゃんの思考が次のように変えられ、インターフォンに対する印象をポジティブなものに変換できます。

来客中に吠える場合は、クレートを使用したり別室にワンちゃんの場所を確保したりしてして、ワンちゃんに安心できる場所を用意してあげることも大切です。

しつけでNGな対応

しつけには逆効果となってしまう対応があります。

次の2つがありますので、気をつけてくださいね。

犬の不安や興奮を高める接し方

犬の不安や興奮を高めてしまう行為には、以下のものが挙げられます。

怒鳴ったり叩いたりしても、臆病な犬なら恐怖心を与えてしまいますし、気が強い犬だと興奮して攻撃性を強めてしまいます。

犬の不安や興奮を高めてしまうと意思の疎通が難しくなり、しつけが更に困難になりますので、決して行わないでくださいね。

ご褒美を与えるタイミングを間違える

吠えてしまったにも関わらず、おやつなどのご報酬を与えることもNGです。

「吠えたら得がある」と犬が学習してしまい、吠え癖をつける原因になります。

さらに吠えることが習慣化されると、吠え癖を直すことがさらに困難になるでしょう。

しつけの際、ご褒美を与えるタイミングは非常に重要です。

「吠えていないからと、おやつをあげようとしたら吠えだして食べてしまった」ということも、あると思います。

初めはタイミングを掴むことが大変かもしれませんが、ワンちゃんをよく観察して見極められるようになってくださいね。

犬の警戒心について理解して愛犬に穏やかな毎日を送らせてあげよう

この記事では警戒して吠える犬に対して、犬が吠える理由やいつから犬は警戒心を持つようになるのか、警戒して吠える犬のしつけ方について解説しました。

犬が吠える理由は多岐に渡りますが、主に以下のことが挙げられます。

犬は人と同じで感受性豊かな生き物です。

未知のものには恐怖を抱き、新しい環境にはストレスを抱えます。

犬が何に対して吠えているのか、しっかりと理解してあげてくださいね。

未然に警戒吠えを防ぐには、警戒心を強める前にいろいろな経験を犬にさせることがポイントです。

いつから犬が警戒心を持つようになるのかは、以下の流れになります。

恐怖心が高まり始める4ヶ月頃までに、さまざまな体験をワンちゃんにしてあげてくださいね。

警戒心から吠える犬には、以下のしつけ方法がおすすめです。

・距離をとって慣らす
・別の行動を教える
・対象に慣れる環境づくり

ワンちゃんの恐怖心や不安を軽減させる工夫をして、警戒しなくてもよいということを教えてあげましょう。

また逆効果になってしまう対応には、十分に気をつけましょう。

以下の行為は犬の不安と興奮を高めてしまい、しつけには向きません。

・怒鳴る
・たたく

ご褒美でおやつをあげるときのタイミングにも、気をつけてくださいね。

吠えることを定着させてしまい、しつけの時間が長引いてしまいます。

吠えることは犬にとって決して悪い行動ではありません。

しかし過剰な吠えは、生活に支障をきたすこともあるでしょう。

吠える理由を追求し適切なしつけを行えば、吠える行為を落ち着かせられますよ。

ワンちゃんとの快適な生活が送れるよう、警戒して吠える行為の改善にこの記事を活用くださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。